岩手県釜石市、本州最東端エリアの南端に位置し、江戸時代の地理学者・伊能忠敬が「日本地図」制作の過程で足跡を刻んだ歴史の港「唐丹（とうに）漁港」。ここは文化11年（1814年）に建立された「忠敬存命中に建てられた唯一の顕彰碑」が海を見守る科学史の聖地であり、同時に三陸南部屈指の「45cmオーバー・黄金アイナメ」や冬の「ヤリイカ爆釣」が日常的に報告される超一級の釣り場です。2025年には「一晩で20杯超のヤリイカ」や「良型クロソイの連発」が報告され、エキスパートたちがその圧倒的なポテンシャルに震えています。地元の暦学者・葛西昌丕が星座石に込めた宇宙観から、世界遺産「橋野鉄鉱山」登録10周年の祝祭、そして2025年最新の釣果データまで。圧倒的ボリュームで、唐丹漁港のすべてを解説します。
唐丹漁港の基本スペック・施設情報
唐丹漁港は、岩手県釜石市唐丹町にある第2種漁港です。岩手県が直接管理する重要拠点であり、唐丹湾の奥深くに位置しながらも、親潮と黒潮が激しくぶつかり合う外洋の新鮮な潮がダイレクトに差し込む良好なコンディションを誇ります。大規模な防潮堤と近代的な水産加工施設を擁し、背後には伊能忠敬の測量碑や星座石といった貴重な文化財が点在する、知的好奇心を満たす港です [1, 2]。
| 漁港名 | 唐丹漁港（とうにぎょこう） |
|---|---|
| 漁港種類 | 第2種漁港（管理者：岩手県） |
| 所在地 | 岩手県釜石市唐丹町字大曽根地内 |
| 主なターゲット | ヤリイカ（爆釣実績）、スルメイカ、アイナメ（ランカー）、クロソイ、メバル、イナダ、サバ、アジ |
| 駐車場 | あり（無料・北波止側に釣り人用の駐車場完備。協力金300円） [3, 4] |
| トイレ | あり（港内に完備。夜間も電気が点灯し清潔です） [3] |
| アクセス | 三陸沿岸道路「釜石唐丹IC」より車で約5分。三陸鉄道「唐丹駅」より車で約5分 [2] |
地形と潮回り：39度12分の測量点が生む「深淵と激流の要塞」
唐丹漁港の地形的特徴は、太平洋に突き出した「仏ヶ崎」の懐にあり、海底がわずか数メートルで一気に水深10メートル、先端付近では20メートル以上に達する「垂直のドロップオフ」にあります [2, 5]。伊能忠敬が1801年に北緯39度12分と正確に測定したこの地点は、対馬暖流の分流がダイレクトにぶつかり、プランクトンを豊富に含んだ新鮮な海水が常に供給されます。海底は砂地と、リアス海岸を形成する巨大な沈み根（シモリ）がパッチワーク状に点在しており、これが大型魚を溜め込む最大の要因となっています。
潮回りについては、2025年の最新調査によれば、冬場でも海水温が比較的温暖に保たれており、12月後半まで25cmオーバーのソイやメバルの活性が持続する「ホットスポット」として機能しています [6, 5]。水質は驚異的な透明度（三陸ブルー）を保ち、日中には海底のスリットを泳ぐ40cmオーバーのアイナメのシルエットを視認できる「サイトフィッシング」の醍醐味を味わえます [5]。夜間は常夜灯が点灯し、ライトゲーム（アジング・メバリング）の格好のフィールドとなります [7]。
唐丹漁港・詳細ポイント攻略ガイド：2025年最新版
① 北波止（メイン堤防）先端：ヤリイカと青物のメインアリーナ
唐丹漁港で最も実績の高いエリアです。2025年12月26日の最新レポートでは、ここで夜間のライトエギングを行っていたアングラーが、一晩で20杯以上のヤリイカをキャッチする好釣果を報告しています [5]。ヒットエギは「ヤマシタ マリア テーラー2号」のグロー系 [5]。先端付近は水深があるため、重めのメタルジグ（80g前後）を用いたショアジギングでサバやイナダ、ワラサの回遊も安定しています。足場が高い箇所があるため、必ず6m以上のタモ網を準備しましょう。
② 港内岸壁・船溜まり周辺（ファミリー・アジング）
足場が完璧に整備されており、車を近くに停めて釣りができるファミリーに最適なエリアです [3]。2025年10月のレポートでは、夕マズメにサビキ釣りでイワシやアジが数釣れており、お土産確保には最適です。夜間は常夜灯が点灯し、アジングでの数釣りも安定。最近のトレンドは「レインズ アジリンガー」のホワイトやピンク系。ボトム付近をデッドスローで通すのがコツです [5]。
③ 堤防付け根・岩礁隣接エリア：ランカーアイナメの巣窟
根魚狙いなら、堤防の根元から続く石積み周辺や、隣接する地磯周辺がおすすめです [8]。2025年12月20日の最新データでは、ここで45cmの見事なアイナメがキャッチされました。ヒットルアーは「オーエスピー ドライブホッグ」のウォーターメロンカラー [9]。複雑なスリットにリグを送り込み、リアクションで食わせる技術が求められますが、その分、三陸ならではのダイナミックな引きを堪能できます。※滑り止めのスパイクシューズの着用を徹底してください。
伊能忠敬の足跡と星座石｜唐丹に刻まれた魂の歴史
唐丹漁港の周囲には、江戸時代の科学者たちが抱いた探究心と、自然の猛威に対する畏敬の念が刻まれています。
伊能忠敬と葛西昌丕の邂逅
享和元年（1801年）9月24日、測量隊を率いた伊能忠敬が唐丹を訪れました。地元の学者・葛西昌丕（まさひろ）は忠敬の偉業に深く感銘を受け、文化11年（1814年）に「測量之碑」を建立しました。これは忠敬が生きている間に建てられた唯一の顕彰碑として、日本の科学史上、極めて希少な価値を有しています。また、同時に建立された「星座石」には西洋の12宮と東洋の12次が交互に刻まれており、当時の人々の高い教養を今に伝えています。
昭和三陸津波「避難の迅速さ」の教訓
昭和8年（1933年）の巨大津波では、唐丹本郷地区で326名もの犠牲者を出しました [10, 11]。しかし、明治の津波の教訓を活かして迅速に避難した隣接地区では被害を最小限に抑えた記録も残っています [10]。再建された現在の強固な防潮堤には「避難に勝る防護なし」の標語が掲げられており、釣り人が立つこの堤防は、人命を何よりも大切にする地域の決意の象徴なのです [12]。
2025年 唐丹漁港の最新ニュースとトピックス
2025年、釜石市では産業革命遺産の節目と新しい観光の動きが注目されています。
- 【2025年7月】世界遺産「橋野鉄鉱山」登録10周年： 登録10周年を記念したマルシェが開催され、唐丹地区からも特産の海産物が出店されました。地域一丸となって歴史遺産を守る活動が活発化しています [13]。
- 【最新】ヤリイカ接岸の異常事態： 12月後半、三陸南部一帯でヤリイカが爆発的な回遊を見せており、唐丹漁港でも「つ抜け」は当たり前、多い人では一晩で30杯以上の実績が続いています [5]。
- 【話題】三陸沿岸道路 全線開通の効果： 2025年8月21日の全線開通により、仙台・盛岡方面からのアクセスが劇的に向上。遠征アングラーにとって唐丹は「最も近い歴史の秘境」となりました 。
施設情報と「釜石・唐丹」の絶品グルメ
唐丹漁港での釣行を完璧なものにするために、周辺の「魂の味」をチェックしましょう。
- 釜石ラーメン： 琥珀色の透き通ったスープと極細縮れ麺が特徴。製鉄所の交代勤務の合間に素早く提供できるよう進化した「鉄のまち」のソウルフードです。
- 瓶ドン（宮古・釜石名物）： 牛乳瓶に三陸の幸を詰めた体験型丼 [14, 15]。唐丹産のメカブやウニを使用した一杯が市内の飲食店「魚彩亭 すみよし」などで提供されています。
- 銘酒「浜千鳥」： 釜石を代表する地酒。2025年12月にも酒蔵見学が開催され、釣りの帰りに三陸の海の幸と最高に合う一本を選ぶのがアングラーの楽しみです [16]。
安全設備と駐車場：協力金300円の重要性
唐丹漁港は釣り人への配慮がある港ですが、以下のルールを厳守しましょう。
- 協力金制度の遵守： 北波止側の駐車場を利用する際は、一人300円の協力金を支払ってください [3, 4]。これにより、ゴミの回収やトイレの清掃といった施設維持が可能になっています。
- 駐車場マナー： 漁師さんの作業（フォークリフトの移動や網干し）を妨げないよう、指定されたスペース以外への駐車は厳禁です [3]。路上駐車は通報の対象となります。
- ライフジャケットの着用義務： 垂直なドロップオフが続く三陸の堤防では、転落は命に関わります。必ずライフジャケットを着用しましょう。
