2024年(令和6年)全国ブリ類水揚げ量ランキングTOP20

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北海道・東北の躍進と「北上する資源」を徹底分析

【専門家分析】2024年(令和6年)最新統計・産地速報データ反映版

日本の食文化において「出世魚」として親しまれるブリ(鰤)。関東ではワカシ・イナダ・ワラサ、関西ではツバス・ハマチ・メジロを経て「ぶり」となります。そのため、縁起の良い魚としてお祝いの席やお正月料理にも欠かせません。冬に旬を迎える「寒ぶり」は脂の乗りが格別で、刺身にすればとろけるような旨み、照り焼きやぶり大根にすればコク深い味わいが楽しめます。一方、夏場のぶりはさっぱりとしており、焼き物や漬けにもよく合います。日本の四季と食文化の中で育まれてきたぶりは、家庭の食卓から郷土料理まで幅広く愛され続ける、まさに日本を代表する魚と言えるでしょう。

2024年(令和6年)のブリ漁は、地球規模の海洋環境変化を象徴する一年となりました。農林水産省の最新統計によると、天然ブリの漁獲量は全国的に高水準を維持する一方、漁場の中心が急速に北上しており、北海道や三陸沿岸の漁港がランキング上位を席巻しています。

本報告では、JAFIC(漁業情報サービスセンター)の全国主要港調査および自治体の確定速報値を解析。鳥取県・境漁港の圧倒的な集積能力から、北海道・紋別漁港の驚異的な伸びまで、実際の水揚げ量(トン数)に基づいた全国トップ20のランキングを詳しく解説します。

目次

1. 2024年(令和6年)ブリ類の生産概況

農林水産省が公表した令和6年の統計によると、ブリ類の生産は「天然(海面漁業)」と「養殖」で対照的な動向を見せています 。

  • 海面養殖業(ぶり類): 収穫量は13万2,100トンを記録し、愛媛県や大分県などの主産地で好調だったことから、前年比で7.0%の増加となりました 。
  • 海面漁業(天然ブリ): 全国主要港における累計水揚げ量は約9.4万トン(前年比91%)とわずかに減少しましたが、資源量自体は1994年以降で最高水準にあり、持続可能な管理が必要なフェーズにあります 。

市場価格は、産地平均で418円/kg(前年比95%)と安定していますが、消費地である東京都中央卸売市場では533円/kg(前年比105%)と上昇傾向にあり、物流費やエネルギーコストの影響が反映されています 。

2. 全国主要漁港「ブリ類」水揚げ量ランキングTOP20(2024年実績)

2024年のJAFIC調査対象港および自治体速報値を基にした、天然ブリの水揚げ量ランキングです。日本海側最大の拠点である境漁港が首位を維持する一方、北海道の紋別や羅臼が上位に食い込んでいます。

順位漁港名所在地水揚げ量(t)動向・分析
1境漁港鳥取県10,741日本海側最大の拠点。前年比82%と減少も依然として国内1位。
2紋別漁港北海道6,564前年比120%。オホーツク海域でのブリ定着を象徴する結果。
3石巻漁港宮城県5,648太平洋側の基幹港。海洋熱波による回遊変化の影響で減少。
4羅臼漁港北海道4,683知床の大型個体が好調。前年比114%と増加傾向。
5網走漁港北海道4,370北海道東部の有力拠点。安定した定置網漁を維持。
6大船渡漁港岩手県4,357三陸沿岸での滞留が長期化。前年比104%と微増。
7松前漁港北海道3,365道南の重要拠点。年ごとの回遊変動の影響を受けやすい [1]。
8長崎漁港長崎県3,354西日本最大の産地。まき網による通年供給体制が強み。
9入善漁港富山県3,116富山湾内での群れの滞留が好漁に寄与。前年比134%。
10氷見漁港富山県2,746「ひみ寒ぶり」ブランドの聖地。前年比114%と回復傾向 。
11八戸漁港青森県2,751三陸北部の集積地。2024年は南下群の捕捉が遅れ不振。
12宇出津漁港石川県2,427能登東部の重要港。定置網への来遊が好調。
13浜田漁港島根県2,347西日本の有力港。2024年は不漁傾向(前年比68%) [1]。
14女川漁港宮城県2,246三陸沖の好漁を受け大幅増。前年比128%。
15広尾漁港北海道2,058道東の地域密着型拠点。前年比134%と躍進。
16気仙沼漁港宮城県2,028太平洋側の資源変動に対応。前年比111%。
17岩内漁港北海道1,960日本海側の高水温により滞留が長期化 [1]。
18釜石漁港岩手県1,720三陸定置網漁の重要拠点。安定した水揚げを維持。
19宮古漁港岩手県1,452伝統的な漁場維持が続く。前年比104%。
20小樽漁港北海道1,338近海での好漁により大幅増(前年比130%) [1]。

※水揚げ量はJAFIC「主要漁港別水揚量累計(2024年)」および各自治体の公表統計を基にアナリストが推計。単位はトン(t)。

鮮度抜群の魚介をお取り寄せ:産地直送の魅力

ブリやカツオなど、旬の味を最高の状態で楽しむには、漁場に近い産地からの直送が一番です。高知県土佐清水市では、黒潮の恩恵を受けた絶品のカツオが水揚げされています。

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3. 北海道の躍進:サケからブリへ、北の海の主役交代

近年、北海道におけるブリの漁獲量は30年前の約20倍にまで急増しており、全国トップクラスの産地へと変貌を遂げました [2, 3]。背景にあるのは、平年を6度以上上回る「海洋熱波」の発生です [4, 5]。

  • 資源の置換: 冷水を好む秋サケが海水温上昇により接岸できず不漁となる一方、温暖な水を好むブリが北上し、道東やオホーツク海域に定着しました 。
  • 漁期の長期化: 従来は秋に南下を開始していたブリが、高水温の影響で11月以降も北海道周辺に滞留するようになり、ランキング上位に北海道の漁港が数多く並ぶ要因となっています [1, 3]。

4. 地域で異なる「ブリの呼び名」:出世魚の文化と基準

ブリは成長段階によって呼び名が変わる「出世魚」の代表格ですが、その名称は地域ごとに多様な進化を遂げています 。

サイズ目安関東地方関西地方北陸地方九州地方
〜20cmワカシツバスコゾクラワカナゴ
40cm前後イナダハマチフクラギヤズ
60cm前後ワラサメジロガンドハマチ
80cm以上ブリブリブリブリ

富山や石川では100以上の地方名が存在すると言われ、特に80cm以上かつ重さが8kgに満たないものは「ブリ」と認められないなど、地域独自の厳格な基準も存在します 。

5. ブリの栄養学:DHA・EPAと健康効果

ブリは美味しいだけでなく、現代人に必要な栄養素が凝縮された「スーパーフード」です 。

  • DHA(ドコサヘキサエン酸): 脳の神経細胞を活性化し、記憶力の向上や学習能力の維持に寄与します [6]。
  • EPA(エイコサペンタエン酸): 血液をサラサラにし、中性脂肪の低下や高血圧予防、血栓の生成抑制に効果的です [6, 7]。
  • ビタミンD・鉄分: カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、血合いの部分に豊富な「ヘム鉄」が含まれており、骨の健康や貧血予防に役立ちます 。

6. 未来展望:低利用魚の価値化と加工技術の革新

北海道での急増に伴い、新たな課題も浮き彫りになっています。秋口に獲れる北日本のブリは、脂の乗りが少なく、従来の「脂の乗ったブリ」を求める市場では評価が低くなりがちでした。

これに対し、函館などではブリを乾燥させて旨味を凝縮させた「ブリ節(ぶりぶし)」の開発が進んでいます 。カツオ節を上回るほどの濃厚な余韻を持つこの加工品は、「函館ブリ塩ラーメン」などの新名物として地域経済に新たな循環を生み出しており、海洋環境変化に食文化を適応させる全国モデルとして注目されています 。

引用・参考資料(リンク付き)

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