岩手県陸前高田市、広田半島の南端に位置し、明治時代の村長・小松楳四郎が石碑に刻んだ「津浪と聞いたら慾捨て逃げろ」の鉄則を130年にわたり守り続ける「広田（ひろた）漁港」。ここは三陸特有のV字型の入り江が津波エネルギーを増幅させる過酷な地勢にありながら、先人の知恵による高台移転でコミュニティを守り抜いた「防災の聖地」です。釣り人にとっては、外洋からの新鮮な潮流が「40cmオーバーの婚姻色アイナメ」や「良型メバル」を運び込む、広田湾屈指のマンモス・フィールド。2025年には「陸前高田市産業まつり」での牡蠣・ホタテの熱狂や、最新のスマートモビリティ「モビタ」の実証実験で沸き立つ、伝統と革新が交差する港。1896年の惨劇から生まれた防災碑の記憶から、2025年末の「ヤリイカ45杯」の爆釣速報まで。圧倒的ボリュームで、広田漁港の真髄を解き明かします。
広田漁港の基本スペック・施設情報
広田漁港は、岩手県が管理する第2種漁港です 。広田半島の先端付近に位置し、泊、後浜、中沢、久保の4地区に跨る広大な漁業拠点を形成しています。全国的にも評価の高い「広田湾産カキ」やホタテの養殖拠点であり、2021年のインフラ復旧完了を経て、現在は三陸南部における水産流通の要衝として機能しています。
| 漁港名 | 広田漁港（ひろたぎょこう） |
|---|---|
| 漁港種類 | 第2種漁港（管理者：岩手県） [1] |
| 所在地 | 岩手県陸前高田市広田町字泊、後浜、中沢、久保 |
| 主なターゲット | アイナメ、メバル、ヤリイカ、クロソイ、ヒラメ、青物（イナダ・ワラサ）、アナゴ |
| 駐車場 | あり（各地区の岸壁周辺に広い駐車スペースあり。漁業活動を優先してください） |
| トイレ | あり（広田小学校周辺や公共施設に完備。非常に清潔です） |
| アクセス | 三陸沿岸道路「陸前高田IC」より車で約25分。JR大船渡線BRT「陸前高田駅」より車で約20分。 |
地形と潮回り：10階建てビルを越える「V字の増幅」と親潮の恵み
広田漁港が突出した魚影を誇る理由は、広田湾という巨大なV字型の入り江構造にあります。外洋の潮流が湾内に進入する際、入り口で受けた潮のエネルギーが湾奥に向かって一点に集中し、これが新鮮な酸素とプランクトンを絶えず運び込みます 。海底は砂岩と頁岩の互層が浸食された複雑な岩礁帯が広がり、アイナメやソイにとって最高級の隠れ家を提供しています。
2025年の最新調査では、冬場の「親潮の差し込み」が顕著で、12月末までヤリイカや良型メバルが防波堤の常夜灯周辺に濃密にステイする「爆釣ゾーン」が形成されています [2]。潮回りについては、満潮からの下げ潮時に堤防先端付近で強力な「ヨレ」が発生し、そこを狙ったショアジギングでブリクラスの回遊も期待できるダイナミックなフィールドです 。
広田漁港・詳細ポイント攻略ガイド：2025年最新版
① 泊地区・メイン大堤防（ヤリイカ＆ロックフィッシュ）
広田で最も実績が安定している一等地です。2025年12月30日の最新レポートでは、夜間のライトエギングでヤリイカが45杯という驚愕の実績が報告されています [2]。ヒットルアーは「ダイワ エメラルダス」の小型ドロッパーや自作のフラワー。また、40cmを超える婚姻色のアイナメも高活性で、テキサスリグ（21g前後）でのボトム攻略が2025年末の必勝パターンです [2, 3]。
② 中沢・後浜エリア（メバリング＆ファミリー）
足場が良く、夜間も明るいためファミリーやライトゲーマーに最適。2025年12月のデータでは、ここで20cm前後のメバルやオウゴンムラソイの数釣りが安定して報告されています [2]。最近のトレンドは、小型のジグヘッドに「エコギア 熟成アクア」を合わせたスタイル。厳冬期の低活性な魚を「味と匂い」で強制的に食わせる釣法が2025年の主流です [4]。
③ 堤防外側・消波ブロック帯（穴釣り＆ドンコ）
冬場の安定したお土産確保ならここ。テトラの隙間を狙う穴釣りでは、食味抜群のドンコ（エゾイソアイナメ）や良型カサゴの数釣りが楽しめます [5]。2025年の新しい傾向として、夜間にメーター級のタチウオや「サワラ」の回遊も確認されており、40g前後のメタルジグを忍ばせておくのが勝利の鍵となります [6]。
小松村長の遺訓と「慾捨て逃げろ」｜130年の時を越える防災の魂
広田漁港の周囲には、自然の猛威に立ち向かってきた先人たちの知恵と、命を守るための鉄則が刻まれています。
小松楳四郎村長と高台移転
1896年（明治29年）の明治三陸大津波により、当時の広田村は死者140名を超える壊滅的な被害を受けました 。時の村長・小松楳四郎は、二度と同じ悲劇を繰り返さないため、家屋を高台へ移転させる方針を打ち出し、各地区に「避難専用道路」を整備しました。この130年前の「防災の礎」が、2011年の東日本大震災においても多くの住民の命を救うこととなりました [7]。
石碑に刻まれた「四つの鉄則」
広田小学校の敷地内にある1934年（昭和9年）建立の「津波記念碑」には、現代の災害心理学でも称賛される究極の教訓が刻まれています [8, 9]。特に「津浪と聞いたら慾捨て逃げろ」という一文は、家財や財産への執着を捨てて、一刻も早く高所へ逃げることの重要性を説いています [10, 11]。釣行の際、この歴史の証人を訪ねることで、この海と共に生きる敬虔な気持ちがより深まるはずです。
2025年 広田漁港の最新ニュースとトピックス
2025年、陸前高田市では伝統の継承と先端技術の導入が注目を集めています。
- 【2025年12月】スマートモビリティ「モビタ」実証実験： 2025年12月から開始。自動運転技術を活用したグリーンスローモビリティの実験が広田町内でも展開され、釣り場の移動がより快適になります [12, 13]。
- 【2025年10月】陸前高田市産業まつり開催： 10月25日・26日に開催。広田漁港直送の「ぷりっぷりの牡蠣」や特大ホタテが格安で販売され、多くの来場者で賑わいました 。
- 【話題】特別展「陸前高田のオシラサマはいま」： 市立博物館にて開催。広田の漁村に伝わる謎の民間信仰が再注目され、歴史ファンの熱い視線を集めました [13]。
施設情報と「広田湾」の絶品グルメ
広田漁港での釣行を完璧なものにするなら、周辺の「海の宝石」を堪能しましょう。
- かき小屋 広田湾： 地元名産の牡蠣が10個以上入った「蒸し牡蠣セット」が1,280円という驚愕の安さ。2025年も、産地ならではの濃厚な旨みを求める人で連日満席です 。
- まつばら食堂（道の駅高田松原）： 20cmを超える巨大穴子を一本松に見立てた「奇跡の一本松天丼」が絶品。三陸産の新鮮なホタテやカキの揚げたても堪能できます [14]。
- 広田湾 殻付きホタテ： カーテンのように吊るす「耳吊り」養殖で砂が入らず、肉厚に育ったブランド品。シンプルな網焼きで食べるのが一番の贅沢です 。
安全設備とルール：14.2mの遡上高の教訓を胸に
広田漁港は近代的な防災インフラを誇りますが、以下のルールを厳守しましょう。
- 強い揺れを感じたら即避難： 昭和三陸津波ではこのエリアで14.2mの遡上高を記録しています 。地震の際は即座に高台（広田小学校方面など）へ避難する意識を常に持ちましょう。
- サケ・マス採捕の全面禁止： 2025年も岩手県内全域で、釣りによるサケの採捕は厳格に禁止。パトロールの指示に従い、ルールを守りましょう 。
- 養殖設備への配慮： 広田湾内には無数のカキ・ホタテいかだがあります。ボート釣りの際、いかだに船を繋ぐ行為は漁具破損に繋がるため厳禁です [15]。
