岩手県九戸郡洋野町、北三陸のダイナミックな海岸線に位置する「高家（こうげ）漁港」。ここは「北三陸ウニ」の最前線基地であり、海底に広がる広大な岩礁帯と「干出岩盤」が織りなす、根魚（ロックフィッシュ）の超一級ポイントです。2025年には「46cmの婚姻色アイナメ」や「良型アジ」の回遊が報告され、知る人ぞ知る実力派フィールドとして、三陸沿岸道路の全線開通以降、熱い注目を浴びています。南部藩時代の放牧史に遡る「高家」の地名伝説から、2025年6月のウニ漁解禁の熱狂、そして地元アングラーが愛する「ほやラーメン」の味まで、圧倒的ボリュームで高家漁港のすべてを解説します。
高家漁港の基本スペック・施設情報
高家漁港は、岩手県九戸郡洋野町（旧種市町）にある第1種漁港です [1]。洋野町の中野地区に位置し、背後には緑豊かな海岸段丘が迫り、前方にはウニやアワビが育つ広大な岩礁地帯が広がっています。三陸の厳しい自然環境の中にありながら、整備された防波堤が釣り人に絶好のフィールドを提供しています。
| 漁港名 | 高家漁港（こうげぎょこう） |
|---|---|
| 漁港種類 | 第1種漁港（管理者：洋野町） [1] |
| 所在地 | 岩手県九戸郡洋野町種市第3地割地内 |
| 主なターゲット | アイナメ、マダコ、クロソイ、メバル、アジ、イナダ、ドンコ、ウミタナゴ |
| 駐車場 | あり（漁港内に数台分の駐車スペースあり。漁業関係者優先） |
| トイレ | なし（近隣の種市地区や国道沿いのコンビニ、道の駅を事前に利用推奨） |
| アクセス | 三陸沿岸道路「洋野種市IC」より車で約10分。国道45号線からの分岐すぐ |
地形と潮回り：干出岩盤が作り出す「根魚の要塞」
高家漁港を特徴づけるのは、汀線から沖合へと広がる平坦な「干出岩盤（かんしゅつがんばん）」です 。この地形が、冬の荒波を適度にいなしつつ、ミネラル豊富な海藻の森（コンブやフノリ）を育んでいます。海底はこの岩盤が侵食された無数のスリット（溝）や沈み根で構成されており、アイナメやソイといったロックフィッシュにとって最高の隠れ家となっています。
潮回りについては、外海からの潮がダイレクトに当たるため、潮通しは極めて良好です。特にメイン防波堤の先端付近は、対馬暖流の分流が複雑なヨレを作り出し、秋にはアオリイカや青物（イナダ・ワカシ）の回遊ルートとなっています。水質は驚異的な透明度を保ち、日中には海底の起伏を泳ぐ魚のシルエットを確認できる「サイトフィッシング」の聖地としても、テクニカルなアングラーを魅了しています 。
高家漁港・詳細ポイント攻略ガイド：2025年最新版
① 外防波堤（メイン堤防）先端部：青物とクロダイの回廊
高家漁港で最も一発大物の期待がかかるポイントです。2025年12月13日の最新ニュースでは、ここで46cmのランカー級アイナメがキャッチされました 。ヒットルアーは「バークレイ マックスセント パルスワーム」の赤金系。先端付近は水深があり、潮目がはっきりと現れるため、ショアジギングでの青物狙いにも最適です。足場が高い箇所があるため、必ず5m以上のタモ網を準備し、ライフジャケットを着用してください 。
② 港内・船溜まり周辺（ライトゲーム＆マダコ）
足場が非常に良く、夜間のアジングやメバリングに最適なエリアです。2025年12月23日の最新レポートでは、港内の底を丹念に探っていたアングラーが、1.5kgクラスのマダコを複数仕留めています 。また、夜間は常夜灯周辺でメバリングが好調で、20cmクラスの数釣りが楽しめます。船の係留ロープには十分に注意してキャストしましょう [2]。
③ 漁港周辺・天然地磯エリア（エキスパート向け）
堤防の付け根から続く地磯エリアは、プレッシャーの低い穴場です。2025年春、ここで50cmに迫る大型アイナメがキャッチされたという逸話も届いています。複雑なスリットを歩きながら打っていく「ランガン・スタイル」が効果的で、滑り止めのスパイクシューズを着用すれば、三陸ならではのワイルドな釣りを堪能できます。※潮位の変化には十分に注意してください。
南部藩の牧場と「高家」の由来｜高家に刻まれた郷土史
「高家（こうげ）」という地名には、かつての南部藩における統治と産業の歴史が深く関わっています。
九戸四門と高貴な番人の記憶
平安時代から続く「九戸四門（くのへしもん）」の制において、この地域は軍馬の生産拠点として重要な役割を果たしていました 。一説によれば、「高家」という名は、当時この地の牧場を管理していた高貴な身分の家系、あるいは「高い場所にある家」に由来すると言われています。厳しい自然環境の中で、魚を獲り、馬を育ててきた先人たちの誇りが、現在の不屈の漁師魂へと繋がっています。
昭和の救農土木事業と発展
近代的な高家漁港の姿は、昭和初期の深刻な不況を打破するために実施された「救農土木事業」によって形作られました 。それまでは自然の岩場の隙間に舟を寄せるだけの過酷な環境でしたが、防波堤が整備されたことで安全性が劇的に向上しました。港に立つと見える強固な石積みの一部には当時の手仕事の跡が残っており、地域の生活を守り抜いた先人たちの執念を感じることができます。
2025年 高家漁港の最新ニュースとトピックス
2025年、高家周辺では豊かな自然の恵みと、釣り人のマナー向上が話題です。
- 【2025年12月】大型根魚の接岸ピーク： 12月中旬、海水温が適温まで下がり、40cmを超えるアイナメの釣果が相次いでいます 。特に「腹パン（抱卵個体）」も混じり始めており、資源保護のためのリリース推奨も進んでいます。
- 【2025年6月】ウニ漁2025 解禁の活気： 6月9日、高家漁港にて今季のウニ漁が解禁されました 。漁師さんたちが丹精込めて水揚げした「北三陸ウニ」が、地域の活気を牽引しています。
- 【最新】漁港内安全標識の更新： 2025年秋、台風シーズンを前に堤防の安全表示が再整備されました。ファミリーアングラーがより安心して利用できる環境作りが進んでいます。
施設情報と「洋野・種市」の絶品グルメ
高家漁港への釣行を完璧なものにするために、周辺の「魂の味」をチェックしましょう。
- はまなす亭 本店： 高家から車で約10分。洋野町名物の「ほやラーメン」や、冬季限定の「いちご煮」が絶品です 。特にホヤの刺身は鮮度が抜群で、釣り人の疲れを最高に癒してくれます。
- お食事処 喜利屋（ウニーク店）： 地元の「南部潜り」のダイバーも通う名店。ボリューム満点の海鮮丼が釣り人の空腹を最高に満たしてくれます 。
- 産直「ウニーク」： 洋野町の特産品が集まる拠点。釣りの帰りに地元の新鮮なウニ加工品やホヤのお土産を調達するのに最適です 。
駐車場と安全対策：トイレ事情に注意
高家漁港は設備が限られているため、事前の準備が重要です。
- 駐車場： 漁港内に若干のスペースがありますが、漁師さんのフォークリフトやウニの処理場前には絶対に停めないでください。
- トイレ： 港内にはありません。車で数分の種市地区の施設や、国道45号線沿いのコンビニを事前に利用するのが鉄則です。
- ライフジャケットの着用： 高家の堤防は風の影響を受けやすく、不意の「土用波」には十分注意が必要です。命を守るため、必ず着用しましょう。
