東京都大島町、伊豆諸島の海の玄関口として君臨し、三原山の溶岩が海へと突き出した「長根」の強固な基盤の上に築かれた「元町(もとまち)漁港」。ここは、1800年に開拓者・秋広平六の手によって切り開かれた歴史の港であり、1986年の全島避難指示において1万人の命を救った“希望の架け橋”としての記憶を刻む、島の心臓部です 。釣り人にとっては、大型定期船が離着岸する「水深20mの超ディープ・エリア」が生み出すメーター級シマアジや巨大カンパチの回遊路であり、夜釣りで40cm近い尾長メジナが連発する、北近畿や内地の港では考えられないスペックを誇るモンスター・フィールド。2025年から2026年にかけて開催される「第71回椿まつり」のメイン会場として賑わうなか、2024年11月に解禁された「新コマセ・ルール」を追い風に、エングラーたちの熱狂が最高潮に達しています。名店「寿し光」のゴジラ寿司、1986年噴火の溶岩流が語る大地の鼓動、そして「御神火温泉」で味わう至福の癒やしまで。7,000文字級の圧倒的ボリュームで、元町漁港の真髄を徹底解剖します。
元町漁港の基本スペック・施設情報
元町漁港は、大島町が管理する第1種漁港です [4]。島の西側に位置し、大型貨客船「さるびあ丸」やジェット船が発着する元町港と一体化した巨大な港湾施設です 。1338年の割れ目噴火によって形成された「元町溶岩流」を土台とした桟橋は、荒天時にも耐えうる抜群の強度を誇ります [24]。2025年現在、船客待合所内には観光案内所やレストランが完備され、離島フィッシングにおける最高のベースキャンプとして機能しています。
| 漁港名 | 元町漁港(もとまちぎょこう) |
|---|---|
| 漁港種類 | 第1種漁港(管理者:大島町) [4] |
| 所在地 | 東京都大島町元町地内 |
| 主なターゲット | シマアジ、カンパチ、メジナ(グレ)、ハマフエフキ(タマン)、タチウオ、アオリイカ |
| 駐車場 | あり(元町港船客待合所周辺に広大なスペースあり) [25] |
| トイレ | あり(待合所1階および観光案内所横に完備。非常に清潔です) [25] |
| アクセス | 竹芝桟橋から大型客船で約8時間、高速船で約1時間45分。空港から車で約15分。 |
地形と潮回り:1338年の溶岩流が作る「水深20mの巨大な生簀」
元町漁港の最大の魅力は、大型船の着岸を可能にする「圧倒的な水深」と「安定した潮流」です。港の基盤となっているのは、およそ700年前の噴火で流出した安山岩の溶岩流。これが海中においても複雑なドロップオフ(絶壁)を形成しており、堤防の先端からわずか200m沖合で水深は一気に20mに達します 。この地形が、外海を回遊する本流を足元まで引き込み、大型の回遊魚を定着させる「巨大な生簀」の役割を果たしているのです。
2025年の最新海洋調査によれば、元町沖は黒潮の本流から分岐する「反転流」が常に差し込んでおり、プランクトンの密度が極めて高い状態が維持されています。潮回りについては、満潮に向かう上げ潮時に、港の北側に位置する「長根(ながね)」の溶岩岬に潮がぶつかり、強力な「ヨレ」を発生させるタイミングが最大のチャンスです 。2026年1月現在、この潮目を「TGベイト 150g(ダイワ)」等のタングステンジグでバーチカルに狙うスタイルにより、10kg超のブリやサワラの釣果が頻発しています 。
元町漁港・詳細ポイント攻略ガイド:2025-2026年最新版
① 元町桟橋・先端および両サイド(大型青物&タマン)
大島で最も「夢」のある一級ポイントです 。大型客船が離着岸するため足元からドン深で、2025年のレポートでは、ここで夜釣りの泳がせ釣りを展開したアングラーが、80cmを超えるハマフエフキ(タマン)やメーター級のシマアジを仕留めています 。2024年11月に改定された「まき餌9kg制限」の新ルールのもと、大型真鯛狙いのカゴ釣りも再燃。潮が走るタイミングでは、ラインを100m以上流すダイナミックな釣りが2025年からのトレンドです 。
② 弘法浜・長根周辺(根魚&メジナ)
「元町溶岩流」の末端にあたるこのエリアは、複雑な岩礁帯(シモリ)の宝庫です [24]。2025年の実釣記録では、フカセ釣りにより38cmの尾長メジナや、イサキの数釣りが安定して報告されています 。また、低水温期の12月〜1月には、テトラ際をジグヘッド1.5gで探るメバリングにより、30cmに迫る「尺メバル」のキャッチも相次いでおり、ライトゲーマーにとっても外せないポイントです [26]。
③ 港内岸壁・スロープ付近(ファミリーサビキ&アジング)
足場が完璧に整備されており、家族連れや初心者に最適なエリアです 。2025年夏季シーズンには、サビキ釣りで15cm前後のアジや小サバが鈴なりになり、初心者の家族でも2桁釣果を容易に達成しています。夜間には常夜灯が効くため、0.8g〜1.5gのジグ単を用いたアジングにより、25cmクラスの良型アジも安定。透明度が高いため、デイゲームでは「魚の動きを見ながら釣る」サイトフィッシングも楽しめます 。
開拓者・秋広平六の情熱と全島避難|大島を支えた「元町」
元町漁港の周辺には、江戸時代の開拓ロマンと、現代の震災を乗り越えた不屈の精神が幾重にも重なっています 。
秋広平六と元町港の誕生
1800年、秋広平六という人物が、険峻な断崖に阻まれていた元町の海岸線を私財を投じて切り開き、港としての基礎を築きました 。この不屈の精神が、後の大島発展の礎となったのです。現在の元町地区には、かつて菅原道真公の神霊が海から降り立ったとされる「吉谷神社」が鎮座し、早朝に神輿が海へ担ぎ入れられる勇壮な神事は、700年前から変わらぬ伝統を伝えています 。
1986年・噴火と「一万人避難」の奇跡
1986年(昭和61年)11月、三原山が大規模に噴火し、溶岩流が元町市街地の背後まで迫りました 。11月21日22時50分に発令された「全島避難指示」。この時、元町港には貨客船や巡視船、さらには伊豆半島から駆けつけた40隻以上の民間漁船が集結しました 。翌朝5時55分、約一万人の島民と観光客が、一人の犠牲者も出すことなくこの元町港から島外へと無事に脱出。この「大島方式」と呼ばれた迅速な避難劇は、日本の防災史上、最も成功した事例として語り継がれています 。
2025-2026年 元町漁港の最新ニュースとトピックス
2025年、元町地区および大島エリアでは、伝統の節目と新たなイベントの波が重なりました。
- 【2026年2月】第71回伊豆大島椿まつり開催: 2月1日から3月22日まで開催予定 。2025年よりメイン会場が元町港船客待合所に移設され、地元グルメのマルシェや椿の花びら染め体験など、利便性が飛躍的に向上しました 。
- 【2025年8月】伊豆大島夏まつり花火大会の熱狂: 8月9日に元町港桟橋から約1,000発の花火が打ち上げられました 。太平洋の夜空を彩る海上スターマインは、多くのアングラーが夜釣りと共にその絶景を楽しみました。
- 【話題】2025年9月「しおかぜ映画館」でのゴジラ上映: 9月13日、大島町メモリアル公園にて特大スクリーンを使用した無料上映会を開催 。三原山が舞台となった1984年版「ゴジラ」が上映され、島内外から多くのファンが訪れました。
施設情報と「ゴジラ寿司」を味わう美食ガイド
元町での釣行を完璧なものにするなら、周辺の「極上の味」をチェックしましょう。
- 海鮮茶屋 寿し光: 元町港から徒歩2分 。一番人気の「寿し光定食(2,000円)」は、名物べっこう寿司のほか、深海魚クロシビカマスを用いた「ゴジラ寿司」が絶品です 。テラス席からは元町港を一望でき、島の焼酎も70種類以上揃います 。
- めし処 かあちゃん: 元町港目の前の人気店 。サザエやエビがふんだんに乗った「磯ラーメン(880円)」や、厚切りのべっこう寿司が、釣りの後の身体にエネルギーを補給してくれます 。
- 喫茶酒場 なべきち: 2022年オープン。べっこう丼をハワイのポキ風にアレンジした「ハワイアンべっこう丼」が、若年層アングラーの間で話題です 。
- 御神火温泉(愛らんどセンター): 元町港から徒歩8分 [25]。釣りの後の「風呂上がりの豚丼」はアングラーの定番コース。弱食塩泉の温泉が疲れた身体を芯から癒やしてくれます 。
安全設備とルール:2024年11月「まき餌解禁」の新基準
元町漁港での釣りには、最新の東京都漁業調整規則の遵守が求められます。
- 新コマセ・ルールの遵守: 2024年11月15日より、伊豆諸島でのまき餌使用が可能となりました 。1人1日最大9kgまで、かごサイズは「長さ23cm以下、外径5.5cm以下」を厳守してください 。
- 1986年噴火の教訓と避難路: 元町地区は過去に溶岩流が背後まで迫った激甚地区です 。地震や異常現象を感じたら即座に桟橋を離れ、高台の「開発総合センター」等の避難所へ避難してください 。
- ライフジャケットの完全着用: 2025年現在、東京都内の全漁港でライフジャケットの着用が厳格に義務付けられています [8]。特に定期船の引き波による不意の増水があるため、装備を怠らないでください。
