佐賀県の中央部に位置し、有明海の最深部へと注ぐ一級河川「六角川」。その河口に開かれた「住ノ江漁港(住ノ江港)」は、日本最大の干満差を誇る有明海のエネルギーを全身に受ける、国内屈指の汽水域フィールドです。最大潮位差約6メートルという驚異的な自然現象が作り出す広大な干潟と、上流から運ばれる豊富な栄養塩。ここは、泥濁りの奥底に潜む「メーターオーバーのシーバス」や、有明海固有の珍魚たちが織りなす、極めてテクニカルかつエキサイティングな釣り場として知られています。江戸時代から続く交通の要衝としての歴史、そして1792年の「島原大変」の記憶を刻むこの港の魅力を、2025年最新の釣況と共にお届けします。
住ノ江漁港の基本スペック・施設情報
住ノ江漁港は、佐賀県が管理する地方港湾であり、白石町と小城市芦刈町を跨ぐ六角川の河口近くに位置する河川港です 。有明海特有の泥質(ガタ泥)と激しい潮流が特徴で、一般的な漁港とは一線を画す独特の景観を持っています。
| 漁港名 | 住ノ江漁港(住ノ江港) |
|---|---|
| 漁港種類 | 地方港湾(管理者:佐賀県) |
| 所在地 | 佐賀県杵島郡白石町、小城市芦刈町 |
| 主なターゲット | シーバス(スズキ)、クロダイ、キビレ、アリアケスズキ、アジ、アオリイカ |
| 駐車場 | あり(港湾周辺の空きスペース。作業の邪魔にならないよう注意) |
| トイレ | 周辺施設(しろいし特産物直売所など)にあり [1] |
| アクセス | JR肥前白石駅より車で約10分。国道207号線経由でアクセス良好。 |
地形と潮回り:日本一の干満差が育む「ガタ泥」の迷宮
住ノ江漁港を攻略する上で避けて通れないのが、有明海特有の「潮汐」と「濁り」です。平均5.4メートル、最大6メートルに達する干満差は、満潮時には豊かな水を湛えた港を、干潮時には一面の広大な干潟へと変貌させます 。この急激な水位変化が強い潮流を生み出し、海底の微細な泥を巻き上げるため、水中は常に高い濁度を維持しています。
この濁りこそが、大型魚の警戒心を解くカギとなります。2025年の最新調査によれば、六角川から流入する豊富なプランクトンを求めてベイトフィッシュが集まり、それを追って有明海固有の「アリアケスズキ」を含むシーバスの群れが頻繁に接岸しています。底質は極めて柔らかい泥質であり、根掛かりは少ないものの、潮が引くと足場が急激に露出するため、潮見表の確認は必須です。
住ノ江漁港・詳細ポイント攻略ガイド:2025年最新版
① 六角川河口・導流堤エリア(ランカーシーバス)
住ノ江漁港で最も熱いのが、六角川の流心と港内の水がぶつかる導流堤周辺です。2025年の釣果レポートでは、雨後の増水時に濁りが強まったタイミングで、80cmから時にはメーターオーバーに達するランカーシーバスが連日確認されています 。濁りの中ではシルエットが重要となるため、2025年のトレンドカラーは「ブラック(黒)」一択。具体的には、XOOXの「キャロー 123S ブラックベイト」などの水押しが強いルアーが圧倒的な実績を残しています 。
② 港内岸壁・スロープ付近(クロダイ・キビレ)
底付近を丁寧に探ると、クロダイやキビレの反応が極めて良好です。2025年10月の情報では、30cm前後の数釣りに混じり、45cm級の良型も姿を見せています 。特にカニやシャッパ(シャコ)を意識したボトムゲームが有効で、フリーリグに「ドライブクロー」などのホグ系ワームをセットし、泥底を小突くように誘うのがコツです。
③ 常夜灯周り(ナイトゲーム・アジング)
夜間、港内の常夜灯にアジやメバルが集まります。2025年11月には、15cm〜25cm、時には30cm近い尺アジの回遊も確認されています 。濁りが強いため、ワームはグロー(夜光)系や、波動の強いリブ付きのタイプが推奨されます。足場が高いため、長めのタモ網を用意しておくと安心です。
「島原大変」の記憶と古代の息吹|有明海最奥の歴史
住ノ江漁港の周辺は、古くから日本の歴史の表舞台に登場してきました。
古代の記述と地名の由来
今から約1300年前に編纂された『肥前国風土記』や、奈良時代の歌集『万葉集』にも、この周辺の地名や情景が登場します [2]。住ノ江という名は、古くは交通の要衝として栄えた港の賑わいを象徴するものでした。
1792年「島原大変肥後迷惑」の教訓
この地域を語る上で欠かせないのが、1792年(寛政4年)に発生した雲仙眉山の山体崩壊に伴う大津波「島原大変肥後迷惑」です 。有明海を横断した巨大津波は、最奥部の住ノ江周辺にも甚大な被害をもたらしました。当時の記録によれば、佐賀藩全体で8,000名以上の犠牲者が出たとされており、今も沿岸部には「寄人(よりうど)さま」として供養塔が残されています 。また、1983年の日本海中部地震の際にも、この地域の砂地地盤で液状化現象が確認されるなど、災害への備えは常に歴史と共にあります 。
2025年 住ノ江漁港の最新ニュースとトピックス
2025年、住ノ江漁港周辺では食と釣りを結びつける新たな動きが見られました。
- 【2025年10月】白石町「新米祭り」開催: 漁港からほど近い「しろいし特産物直売所」にて開催。地元の干拓地で育った新米と有明海の海産物が並び、多くの釣り人も足を運びました [1]。
- 【最新】シーバス100cmオーバー記録: 2025年、六角川河口にてメーターオーバーのモンスターシーバスがキャッチされ、SNSで大きな話題となりました 。
- 【2025年冬】有明海苔の作柄好調: 漁港周辺で盛んなノリ養殖が今期は極めて順調。港を行き来する漁船の活気が、冬の住ノ江の風物詩となっています。
周辺施設と「白石干拓」の絶品グルメ
住ノ江漁港での釣行の際は、白石町の豊かな恵みをぜひ堪能してください。
- しろいし特産物直売所: 漁港から車で数分の場所にあり、特産の大豆を使った発酵食品「しろいしてんぺ(テンペ)」が絶大な人気を誇ります 。
- 白石レンコン: 重厚な粘土質の干拓地で育ったレンコンは、モチモチとした食感が特徴。冬の釣行のお土産として欠かせません 。
- 夜明茶屋(近隣エリア): 柳川方面へ足を伸ばせば、ムツゴロウやワラスボ、クチゾコ(シタビラメ)といった有明海ならではの珍味を味わえる名店があります 。
安全設備とルール:有明海を安全に楽しむために
独特の環境を持つ住ノ江漁港では、以下のルールを徹底してください。
- 潮位の急変に注意: 干満差が激しいため、干潟に取り残されたり、急激な満潮で足場を失う危険があります。必ず潮見表を携帯しましょう。
- 地震発生時の避難: 強い揺れを感じた際は、過去の津波被害を教訓に、即座に内陸の高台へ避難してください。
- ゴミの持ち帰り: 貴重な干潟の生態系を守るため、ラインやルアーのパッケージなどは必ず持ち帰りましょう。
