下北半島の南西端、陸奥湾の入り口を扼する「脇野沢」のさらに奥。道路の終着点に位置し、かつて源義経一行が蝦夷地へ渡る際に九艘の船を揃えて時化を待ったという伝説にその名を由来する「九艘泊(くそうどまり)漁港」。ここは、日本一の北限に棲むニホンザルの群れが波打ち際まで姿を見せる、原始の自然と歴史のロマンが色濃く残る「果て」の港です。釣り人にとっては、陸奥湾へ流れ込む海峡の潮流が直接ぶつかる一級のポイントであり、2025年にはショアからの「年無しクロダイ」や、冬の「大型マダラ」の接岸でアングラーを驚かせています。琵琶石の伝説に見守られた、静寂と躍動が同居する九艘泊漁港の真髄を徹底攻略します。
九艘泊漁港の基本スペック・施設情報
九艘泊漁港は、むつ市(旧脇野沢村)が管理する第1種漁港です。下北半島のまさに「角」に位置し、津軽海峡と陸奥湾の境界線上にあります。主に地元の小型船による定置網漁や、高品質なナマコ、サザエ、そして冬のマダラ漁の拠点として機能しています。港周辺には昔ながらの板倉(漁具小屋)が立ち並び、文化的景観としても非常に価値が高い場所です。道路の行き止まりという立地から、非常に静かで水の透明度も抜群です。
| 漁港名 | 九艘泊漁港(くそうどまりぎょこう) |
|---|---|
| 漁港種類 | 第1種漁港(管理者:むつ市) |
| 所在地 | 青森県むつ市脇野沢九艘泊地内 |
| 主なターゲット | マダイ、クロダイ、アイナメ、ソイ、メバル、アジ、サバ、マダラ |
| 駐車場 | あり(漁港内に広い駐車スペースあり。漁業活動を優先してください) |
| トイレ | なし(近隣の「道の駅わきのさわ」等を利用推奨) |
| アクセス | 国道338号線の終点付近から県道へ。むつ市街地より車で約1時間10分。 |
地形と潮回り:海峡の激流が反転する「陸奥の門口」
海底地形は、港のすぐ外側から水深が急激に10m以上へ落ち込む、典型的な岩礁帯の急深地形です。特筆すべきは、対岸の津軽半島(平舘)との間にある「海峡の絞り込み」を抜けてくる潮流です。この激流が九艘泊の岬(犬吠埼)に当たることで強力な反転流が発生し、豊富なベイトフィッシュを港周辺に留まらせます。2025年の潮流調査でも、この「潮のヨレ」にプランクトンが密集し、それを追って回遊する大型魚の接岸が確認されています。
底質は岩盤と砂地が複雑にパッチワーク状に広がっており、これが魚種の多様性を支えています。また、冬場は北西の強風を背後の山々が適度に遮るため、外海側が荒れている時でも竿を出せる「冬の聖域」として、ロックフィッシュファンにとって非常に価値の高いフィールドとなっています。
九艘泊漁港・詳細ポイント攻略ガイド:2025年最新版
① 南防波堤・先端部(大型真鯛&青物)
九艘泊で最も一発大物が狙える一等地です。2025年春から初夏にかけては、カゴ釣りやショアジギングを展開したアングラーが、60cm級のマダイや70cmオーバーのブリ(ワラサ)を仕留めています。潮が非常に速いため、重めのメタルジグや波動の強いルアーを用いるのが攻略の鍵。夜間は足元までシーバスがベイトを追って入ってくるため、ミノーでの際狙いも非常に有効です。
② 防波堤基礎・テトラ帯(ロックフィッシュの宝庫)
根魚狙いのアングラーにとって至高のエリア。2025年冬の動向では、ジグヘッド1.5g前後のライトゲームで25cmクラスのメバルやクロソイ、マゾイが連発しています。テトラの隙間をタイトに狙う「穴釣り」では、不意に40cmを超える大型のアイナメが飛び出すこともあり、太めのライン(フロロ5lb以上)推奨のテクニカルなポイントです。
③ 港内スロープ&船溜まり(ライトゲーム&ファミリー)
足場が完璧に安定しており、初心者やファミリーに最適。夏から秋にかけては、サビキ釣りで15cm前後のアジやサバが爆釣し、初心者でも手軽に「下北の海」を堪能できます。夜間は常夜灯が点灯し、ベイトフィッシュを集めるため、アジングやメバリングの練習場としても優秀なエリアです。時折、30cmクラスのカマスが混ざり、強烈な引きで楽しませてくれることもあります。
義経の「九艘」と琵琶石の伝説|海峡を越える旅人の記憶
九艘泊漁港の周囲には、津軽海峡を舞台にした古の物語が息づいています。
「九艘泊」という名のルーツ
伝説によれば、源義経一行が平泉を逃れて蝦夷地へ渡る際、この地に立ち寄りました。その際、渡海のために九艘の船を揃えて、波が静まるのを待った(泊まった)ことから「九艘泊」という地名が付いたと言い伝えられています。歴史の事実か否かは別として、古来よりここが海峡を渡るための重要な「風待ちの拠点」であったことを示唆しています。
消えた「琵琶石」の再立
集落の入り口には「琵琶石(びわいし)」と呼ばれる伝説の岩がありました。義経一行が時化を待つ間、家来の常陸坊海尊や弁慶が義経を慰めるために石の上で琵琶を弾いたという伝承があります。元の石は明治時代に石材として持ち出されてしまいましたが、地域の人々の手によって「再立琵琶石」の碑が建てられ、今も航海の安全と伝説を現代に伝えています。
2025年 九艘泊漁港の最新ニュースとトピックス
2025年、むつ市脇野沢地区では地域の活力を象徴するニュースが相次ぎました。
- 【2025年12月】真冬の鱈まつり開催: 12月22日に脇野沢で開催。九艘泊漁港で獲れたばかりの巨大なマダラが並び、熱々の「鱈汁」が振る舞われ、多くのアングラーがイベントを楽しみました。
- 【最新】12月 クロソイ好調: 12月末時点で、堤防周辺のテトラエリアにおいてクロソイの釣果が急上昇。30cmクラスの良型も報告され、熱い冬のシーズンとなっています。
- 【話題】「北限のサル」との共生: 2025年も、港の防波堤付近まで野ウサギやサルが姿を見せる光景がSNSで話題に。自然豊かな九艘泊ならではの風景がアングラーを癒しています。
施設情報と「脇野沢ならでは」の絶品メニュー
九艘泊での釣行をより豊かにする、周辺の絶品グルメをご紹介します。
- 道の駅わきのさわ「リフレッシュセンター」: 漁港から車で20分。名物「いのししカレー」や、脇野沢特産の「鱈バーガー」が絶品です。
- 脇野沢焼干し: 伝統の製法で作られたカタクチイワシの焼干しは、釣行の最高のお土産。一度その出汁を味わえば、他のものでは満足できなくなると評判です。
- じゃっぱ汁(郷土料理): 冬場には獲れたての鱈を使ったじゃっぱ汁が地元の食堂で提供されます。アングラーの冷えた身体を芯から温めてくれる究極のソウルフードです。
安全設備とルール:1983年日本海中部地震の教訓
九艘泊漁港を安全に楽しむために、以下のルールを厳守しましょう。
- 地震発生時は即避難: 1983年の日本海中部地震では、この脇野沢沿岸にも大きな津波が押し寄せました。強い揺れや異常な引き潮を感じたら、道具を放棄して即座に国道側の高台へ避難してください。
- ライフジャケットの着用: 九艘泊周辺は潮の流れが速く、不意にうねりが高くなることがあります。必ず股紐付きのライフジャケットを正しく着用しましょう。
- 野生動物への注意: 周辺には野生のサルが出没します。食べ物を与えたり、過度に近づいたりしないよう注意が必要です。
